関節リウマチの患者数の病院ランキングです。2017年の実績ベース。山口県内の病院が対象です。厚生労働省(厚労省)のデータに基づいています。1位は山口大学医学部付属病院、2位は山口県立総合医療センター、3位は下関市立市民病院となっています。関節リウマチの医師やクリニックを探しましょう。医療法人愛の会(親和会)の織畠病院など。(医療・介護情報メディア「リトリート」編集部 大畑亮介

患者数のランキング【山口】~2017年実績

順位 病院名 関節リウマチの患者数
1位 山口大学医学部付属病院 797
2位 山口県立総合医療センター 360
3位 下関市立市民病院 344
4位 JCHO徳山中央病院 203

関節リウマチとは

複数の関節に炎症が起きる病気で、多くは手足の指の関節炎からはじまります。

悪化したり軽快したりをくり返しながらしだいに慢性化していき、放置すると関節が変形して、やがて関節が固まって動かせなくなります。

女性には男性の3~4倍多く発病します。

また、子どもや老人にも見られますが、大半は20~50歳代の人に発病する病気です。

<引用文献>
「病院の実力 総合編 2019」
「家庭の医学事典」

関節リウマチの病院と治療の現状(2018年、山口県と九州)

関節リウマチは、免疫が過剰に働き、関節に炎症が起きる原因不明の病気です。あらゆる関節に痛みやこわばりが出て、進行すると骨などが破壊されていきます。患者は約70万人といわれ、50歳前後の発症が多いですが、20~30歳代での発症も2割程度あります。

治療の基本は抗リウマチ薬「メトトレキサート」の服用で、早期に発見して治療を始めれば関節の破壊を抑えられます。基本的に生涯つき合う病気で、長期の治療が必要になります。

抗リウマチ薬だけでは症状が治まらない場合もあり、関節破壊を防ぐ効果がより強い生物学的製剤を使います。8種類が保険適用されており、数週間ごとに注射や点滴をります。タイプは異なりますが、同等の効果がある飲み薬の「JAK阻害薬」も近年2種類登場しました。

関節の破壊が進んで生活に支障を来す場合は、人工関節を入れたり、関節を一部切断したりして改善する手術が行われます。最近は手足の指など小さな関節の手術が増えてきましたが、難しい手術のため、積極的に行う病院はまだ少ないです。

薬や手術など治療の選択肢が多いだけに、一定の経験を持つ日本リウマチ学会の専門医を受診することが望ましいです。

地域と連携

長崎大病院(長崎市)リウマチ・膠原(こうげん)病内科では、診療所など40か所以上の地域の医療機関と連携して治療にあたっています。各医療機関から紹介を受けた患者を診断して治療方針を決めた後は、再び各医療機関で治療を継続してもらうシステムを構築しており、新規患者数が多い理由にもなっています。

リウマチ・膠原病内科の教授によると、患者には各医療機関で治療を続けてもらい、長崎大病院でも3~12か月ごとに診察を行います。各医療機関とは年2回、勉強会を開いて情報交換し、長崎大病院の専門医らが治療法の現状や注意点などを紹介しています。

専門医の育成にも力を入れています。長崎大病院や関連病院では、日本リウマチ学会が認定する「指導医」として2018年度、新たに7人の専門医が認定を受けました。若い専門医が地域の医療機関に出向して治療に取り組んでおり、地域医療の向上にもつながっています。

教授は「新しい飲み薬が登場するなど、関節リウマチの治療を取り巻く環境の変化は著しい。専門医の重要性は高まっている」と強調します。

臨床研究の分野では、2013年から長崎大病院の放射線科や整形外科、九州・山口の医療機関と協力し、200人以上の患者の磁気共鳴画像(MRI)や超音波画像、血液検査などの結果を解析し、薬を含めた治療法の効果を調べています。

教授は「どういった患者にどの生物学的製剤が効くかなどが詳しく分かってきた。より確実な治療につなげたい」と話しています。

手術も選択肢

日常生活に支障がある場合は、手術も選択肢の一つとなります。九州大病院(福岡市東区)整形外科の准教授は、「特に足の指は、1か所でも変形すると、痛みがでたり、靴が履けなくなったりする。手術で形を整えることで生活の質が大きく改善する」と話します。

手術では従来、曲がった足指の関節を切除し、残った骨を金属のプレートで固定していました。ただ、この方法では、指の動きが悪くなったり、変形が再発したりするケースもあるため、九州大病院では関節を残す「温存手術」も導入しています。

この手術では、関節につながる骨の一部を切り取って短くすることで、曲がった関節を伸ばし、元の形に矯正します。関節を残すことで指の動きも正常に近づきます。手術は3時間程度で、傷がふさがるまで約3週間の入院が必要といいます。

准教授は「物を握る力や、指のスムーズな動きを全て回復させるのは難しい。ただ、見た目を良くし、靴を履けるようになることが患者さんにとって重要だと実感している」と話します。

九州大病院では、手指の関節を整え、人工関節を入れる手術も行います。こうした手足の手術では、骨の形や筋肉、腱(けん)をバランス良く配置するのに細心の注意を払うといいます。

「診察では、日々の生活で『何を改善したいか』をよく聞き取るようにしている」と准教授は話します。「患者さんの事情に合わせて、手術を含め様々な選択肢があるので、医師に相談してほしい」と呼びかけました。